ハウ・ツー・レコード(前編)「メディアいろいろ」 [2019-01-24]

ハーイ、くくのっちです。訳あって歴史資料室の業務をお手伝いすることになったでゴンス。そんでもってんで先日、学内の文化系各公認クラブ代表者全員に「資料室へ保存してほしい資料があればどうぞ持ち込んでください」旨、打診したところ、MMS、JFK、Melody Unionから大量の録音資料・写真・賞状ほかの寄贈をいただいたんだよね。保存スペースの事情で一部返却させてもらったけど、大部分は歴史資料として受け入れさせていただきました。ハイ、ありがとうございます。パチパチパチ。おおー。映像・音声資料がいろんな記憶メディアに収められていますなー。むふふふ。まかせとけって。こんな時のため、くくのっちが各所からかき集めた旧メディアプレイヤーたちが活躍するぜよ。

まずは一番上のVHSビデオテープ、1980年代はビデオって言うとこれだったね。今見ると巨大なりorz。そんでこれが何十本も各家庭にあったんだから邪魔でしょうがなかったよね。もっぱらテレビ番組の録画に使われてたけど、驚くべきことにこのテープを入れて撮影するビデオカメラも結構普及してたんだよ。箱ティッシュくらいの大きさのカメラが! これが発売された当時は、家庭用の録画再生機器の覇権を争ってBetamaxっていう名前の規格と大バトルしてですネ。より小型で高画質だったBetaになぜかしらVHSが勝利して市場を席巻しちゃったのよ。ホワーィ? 自分で調べやう! 資料室にはVHS、Betaとも再生機あります。

それから右下のカセットテープ。いまだに結構ユーザーがいるんだよね。くくのっちがこないだケーズデンキ行った時にまだプレイヤー売ってた。この記録メディアはオランダのフィリップス社が開発、特許申請せず今で言うとオープンソースにしてワールドスタンダードになったもの。それまでのオープンリールテープから飛躍的に使い勝手を向上させた、いくら褒めてもいいくらいの偉大な功績です。プレイヤーとレコーダーが一体となって普及したことも大きかった。当時は個人宅やあらゆる施設のどこに言ってもカセットテーププレイヤー兼レコーダーがあり、なおかつ音声再生録音の規格も基本一つだったから、テープさえ持って行けば世界中どこにいっても再生・録音(しかも上書きして何度でも使えた!)が可能でした。今のほうがOSやファイル形式・プレイヤーの有無とバージョンなどなどの制約が多くて不便になったんじゃないかなあ? 1970年代から1980年代にかけて、テープ素材のハイグレード化がトレンドになって、それまでのNormal(Type I)に加え、Hhigh Position(Type II)、Ferrochrome(Type III)、Metal(Type IV)のグレードが次々に発売されたんだなァ。メタルなんざ高級路線が昂じて金属製のダイキャストボディーやセラミックボディーのカセットまで売られてた。あれはいくらしたんだっけ? 高かったし。そういや奥田民生と井上陽水が作った『AとB』っていうカセットテープを歌った迷曲があったなあー。♪のーまるー、くろーむー、めたりっくー♪っていう歌詞だよ。ヘンだよ。資料室にはくくのっちが実家(Yesterdayland)からもってきたフィリップス社製のミュージックカセットテープ『ツィゴイネルワイゼン~ヴァイオリン名曲集』があるけど、今でも驚くほどの高音質で鳴りますよ。聴きたいって人は図書館までご一報を。これもデッキ型再生機あります。

次は左下のMD(MiniDisc)か。これは1990年代にカセットテープを凌いで一般家庭でスタンダードになった規格だったよね。カセットよりコンパクトで使い勝手も良かった。TOC(Table of Contents)機能で収録タイトルをデジタル入力できたし、CDからのデジタル録音も(1回に限りだけど)可能にしたのも画期的だった。テープメディアの最大の恐怖、テープ巻きつきトラブルが無くなったってだけでもGJ。アナログ録音の音質面での問題やポータブル機ありきの普及でハイエンドユーザー向けに普及しなかったけど、2000年代にiPodが定着するまでは結構イケてたから20年くらいは使われたのかな。ポータブルじゃなくってちゃんとしたデッキ型の再生機あります。

次は左側のVHS/Cと右側のHi8ですな。これらはいわばVHSとBetaのコンパクト版だよね。ここでも両規格を推進するメーカーの戦いが再現されたんだけどソニーが1989年にトレンディー女優浅野温子を起用したテレビCMの名コピー「パスポートサイズ」で売り出したコンパクトなビデオカメラ・プレイヤー「ハンディーカム」が決め手となってこんどはソニー側のHi8に軍配が上がりました。Hi8は1990年代を通じてビデオカメラの主流になりました。負けたけどVHS/CのすごかったところはVHSコンバーターていうものにこれをカポッてはめると、従来のVHSプレイヤーで視聴できたこと。Hi8はデッキ型再生機あります。VHS/Cの方はコンバータがないんだよね。中古で買ってもいいけど、結構するんだコレが。

真ん中の列の上はDV(Digital Video)ですね。正確にはMiniDV。1990年代の後半から出てきて2000年代はこれが主流に。家庭用ビデオがついにデジタルで録画できるようになったんですね。最初にDVの高画質を見たときはちょっと感動しました。だってそれまでのアナログと違ってTV番組と同じくらい密度の高いエッジのくっきりとした鮮明な画像だったから。2000年代後半になってHDD、MicroSDカードが主流になるまではこのDVテープカセット型のビデオカメラが普及してました。皆さんが生まれたころの記録はコレの人もいるんじゃないかな。資料室にプレイヤーはないけどくくのっちがYesterdaylandで使ってたDV入れて撮影するビデオカメラがあるからお家から持ってくればモニタに出力して見れるゾイ。しかし今はDVって別の略称でNGだよなあ。

最後に真ん中のコレは! おお! DAT(Digital Audio Tape)「ダット」です。これはいわばデジタル録音できるカセットテープで、どちらかというとプロユースだった。スタジオやライブハウスで演奏を録るときに使われてましたね。さすがにDAT専用プレイヤーは資料室にもないッス。中古を買ってもいいけど、テープメディアのプレイヤーはギアやベルトが劣化して使い物にならんのが多い。MMSはスタジオレコーディングする機会が多かったからDATが残されているのかな?

てなわけで、資料室には現在、VHS, Beta, Hi8, Casette Tape, MiniDic, CD, MiniCD, DVD, LD が再生できる環境があります。あとはDAT、VHS/Cコンバーター、LPプレイヤーくらい揃えればまあ満足。できればオープンリールテープや8mm/16mmフィルムの再生機・映写機もあるといいと思っています。せっかく録った画像や映像がメディアプレイヤーの消滅でアクセスできなくなるってのはなんとも残念。資料室ではこれからもできるだけ長く多くのメディアを再生できる環境を保持したいと思っています。

次回はハウ・ツー・レコード(後編)「思い出のゆくえ」と題して、記録と記憶の今について考えてみたいと思っちゃったりなんかしちゃったりなんかして。しばしの別れを。XX

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