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歌えますか、歌いますか 2013-03-25

不謹慎という謗りを承知のうえで言えば、「軍艦マーチ」が国歌だったらいいのにと思ったことがあります。歌詞や背景と無関係なところで、あの勇壮なメロディーは諸外国のものに引けを取らないのにと。もっとも、こんなのが採用されることは絶対に有り得ない。それで、岩手県の盛岡第一高等学校の校歌が同じ旋律だと知ったときは驚きました。ただし、実際に聴いてみると、こちらはテンポがゆっくりで、原曲の持つ昂揚感には欠けるのがやや残念なところ。>
 また、桜美林学園は創立後しばらく「海行かば」の曲を校歌に使用していたそうです。作曲した信時潔が教会牧師の三男だったからか賛美歌を思わせるその楽譜を、キリスト教主義に基づく教育を理念とした同学園の創立者が高く評価した故らしい。「みんな知っているので歌いやすかったのでしょう。特に反発はなかった」との証言もあります。

 この2月にテレビ番組「題名のない音楽会 特集みんなで歌おう!ユニーク校歌大集合」が放送されました。お茶ノ水女子大のものが日本最古だとか、芸大にはないなどのエピソードのあと、ユニーク校歌のひとつとして、国際基督教大学グリークラブがバイリンガルで"The ICU Song"の1番を歌っている(歌唱場面の他にマクリーン通りや本館、バカ山と礼拝堂が映ります)。谷川俊太郎と林光の格調高い組み合わせによる、立川市立幸(さいわい)小学校の校歌も紹介されたが、さらに強力なのは、井上ひさしと宇野誠一郎のひょうたん島コンビで、この二人が作った釜石小学校校歌を、在校生と教職員とが3番まで誇らかに歌います。

 同校の体育館は、あの震災で家を失った人たちの避難所となっていました。壁には校歌の額が掲げてある。これを見た被災者の一人が学校関係者に、「ここの校歌、いいですね。私たちの心情にぴったりです。この避難所を出て行くときには、この歌を歌いながら出て行きたいですね」と言ったことから、避難所が閉鎖になる8月まで校内放送で流れ続けた。

 フォークシンガーの小室等が『週刊金曜日』誌の連載で、「井上ひさしさんが作詞した釜石小学校の校歌、歌詞の中に校名も地名も出てこない。凄いでしょ」との永六輔の言葉と共に、歌詞の全部を引用しています。彼によれば、避難者の皆さんは毎朝これを歌って励ましあったという。そしてそのあと、こう締めくくるのです。「ところで、国歌はこんなとき人々を励ませるかな」。

 合唱王国と謳われる福島県の若い世代による「ふるさと」を何度も目にし耳にしましたが、あの歌を第二の国歌に推す意見が少なからずあるそうです。
「海行かば」が昭和戦前期にそう呼ばれたことはさておき、アメリカにも"God Bless America"の例があります。歌声が高まればできないことではないでしょう。国分寺市の旧宅に残る信時愛用のピアノが脚光を浴びるかもしれない。

参考資料:

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