「図書館ほどドラスティックな変化を経験している業種もないのではないか」 そう思ってしまうほど、我々図書館員をとりまく状況はこの5、6年でめまぐるしく変わっています。いま在学している学生の皆さんは、4年前にはオスマー図書館がなかった(ソリ遊びに絶好の芝生のスロープだった!)事など想像できないかもしれませんね。
レファレンス・サービスのありようも、大きく変わりました。数年前まではカウンタに座って利用者から声をかけられるのを待って、一緒に書架を巡り資料の場所や使い方を教えていたのが、今ではほぼ一日中パソコンに向かって様々な業務を行っています。顔を上げればパソコンに向かう多くの学生の姿が見えます。そうしていると、あたかも利用者の方もすべてパソコンを通じて図書館を利用しているかのような錯覚に陥ります。本を探しながら書架の間を行き来している利用者、テーブルで本を読んでいる利用者、本の貸出手続をする利用者の姿は普段の業務の中で忘れがちになってます。
レファレンス担当者の使命は、学習者・研究者のサポートを通じて終極的には一人の人間の成長を手助けする事だと思います。そして、そういう意味では最近のデジタル環境には何か欠けているものがあるような気がしてます。かつては卒業した学生から「おかげで卒業できました」と礼状や菓子折が届けられることがあったのも、利用者と図書館員がお互い顔が見える関係だったことに起因しているのではないかと思います。(別に今、菓子折りが欲しいわけではないのヨ)
サービス業の顧客による評価の重要なポイントは何だか、ご存知でしょうか? とある調査結果によれば、サービスしている商品の量や高度なテクノロジーよりもサービスの使いやすさや親身になって丁寧に対応してくれるスタッフであるとのことでした。つまりは「親しみ易さ」と「ありがたみ」です。昨今のデジタル環境の中で我々は利用者の皆さんに「親しみ易さ」や「ありがたみ」を感じさせているかどうか、自問しています。