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森本あんり『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病の正体」』について 2015-09-01

『ちくま』(P/020.5/C44)の「世の中ラボ」は、毎回テーマを決めて図書3冊を挙げ、文芸評論家の斎藤美奈子がさばいていく連載コラムで、その切れ味は鋭い。9月号は反知性主義を採りあげています。俎上に載せるのは、佐藤優『知性とは何か』(祥伝社新書)、内田樹(編)『日本の反知性主義』(304/U14)、そして、森本あんり『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病の正体」』(080.1/Sh/Mo55h)。今回も斎藤が忌憚なく迫ります。

「安倍晋三政権が軌道に乗って来てから、私はあえて「反知性主義(antiintellectualism)」という言葉を用いて、現在の国内政治や外交を批判することにしている」という佐藤には、「安倍政権的なるものを批判するのに「反知性主義」という言葉は有効なのだろうか。「反知性主義者」と批判された反知性主義者は反省するだろうか。「知性のある私」が「知性のない者」を批判する。そういうやり方をしてきたから、日本の左派は嫌悪され、「情」で勝負の右派に人が流れたんじゃないのか」と疑問を呈しています。

また、『日本の反知性主義』について、ある論文には「反知性主義の何たるかをめぐって哲学的な論議が続くが、言葉の周りをうろうろするだけ。要するに、だから何?」とツッコミを入れ、別の論文は「たしかに腑には落ちる(が、これとてわざわざ知性/反知性という用語が必要だとは思えない)」。他の論者も「でもさ、やっぱり歯切れは悪いわけね」と片づけて総括はこうです。「こうまでして「反知性主義」にこだわることに、いったいどんな意味があるのだろう。手の込んだやり方で「バカが世の中を悪くする」といいたいだけ、みたいに見えるんですけどね」。

そして段落を改めて、「さて、このような混迷状況を見るに見かねて、いわば「待った」をかけたのが、森本あんり『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病の正体」』だった」となるのですが、惜しいところで紙数が尽きました。このあとは『ちくま』今月号でどうぞ。

本の紹介には、「無批判に使われている反知性主義について一から解説した好著。著者は1956年生まれの国際基督教大学学務副学長(ちなみに男性)」とあります。

(M)

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