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書架を巡れば 2009-04-02

オスマー図書館のパソコンがこの春すべてリニューアルされましたが、図書館本館の方の変化にはお気づきでしょうか。新入生の皆さんは比べることができないと思うのですが、書架が整頓され図書や棚の上に積もったほこりも取り除かれて随分きれいになっています。利用の多いICU図書館にとって書架の乱れは避けられない悩みでもありますが、春休みに学生アルバイトのみなさんが時間をかけて作業した成果なのです。今回のコラムは書架で資料を探すことについてです。

図書館でよく使われることばに「ブラウジング(browsing)」というのがあります。コンピュータ関連でも「ブラウザー」や「ブラウジング」というのはよく耳にすると思いますが、図書館や書店においての「ブラウジング」は実際に書架の間を歩きながら本を探すこと、あるいは何気なく本の背(書架でタイトルが見えている部分)を見て回ることも指しています。

国際基督教大学図書館だより"Libertas" No.5に保健体育科の松岡信之先生が「図書館と私」という文章を書いてくださっているので、大変勝手ながら要約させていただきます。書かれたのは1995年12月でインターネットが一般化され始めたころですが、13年経ってインターネットが必須の道具になった現在改めて書架から得られるものの重要性について再認識することができます。

「今日でも、たくさんの本が並んだ書棚の間を歩き回り立ち読みが出来るシステムの良さをもう一度見直す必要があるように思う。情報収集で一番効率のよい方法はもちろんデータベースへのアクセスであるが、直接的なデータ以外の周りにあるものを見落としてしまうことは危険である。例えば新聞の縮刷版や関連記事のスクラップで新聞全体や広告なども見ないと、その時代における体力の問題がどのように扱われていたかを理解することはできない。教養学部教育とはいろんなことをベースにして、いろんなことと関連づけてものごと(自分の分野)を考えることができる人を育てる教育なのだと思う。ICUの図書館で体育関係の書棚に行くには社会科学、教育に関連する書棚を通って行く。健康・体力に関する書棚の後ろは自然科学の書棚である。体育関係の雑誌のバックナンバーがある書棚の隣は哲学関係の雑誌と刺激的である。私は、外からの情報を収集する場所としてだけではなく、自分の知識を整理する場としてこれからもICU図書館を利用させていただきたいと思う。」

データベースはピンポイントで自分のテーマについて調べることができるため、基本的な知識をすでにレファレンス資料や概論書などの基本資料で得たあとでないと、データベースで得られた情報や論文が自分のテーマや関連分野全体の中でどの位置を占めているのかわかりにくいことがあります。図書館の書架を巡ることで「情報を得る」ことだけでなく「知識」が体系立てられ情報を吟味する力が養われると期待できます。

ICU生の皆さんにはデータベースの利用と書架巡り(ブラウジング)の両方をバランス良くこなしていただけたらと思います。テーマによりどのメディアを使えば良いかは変わってきます。オスマー図書館のレファレンスサービスサンターには資料探しのプロである図書館員がいますので、一度相談に行ってみてください。

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